ファーストシングルモルト記念連載企画「山鹿蒸溜所ストーリー」。第3回となる今回のテーマは「つくり手としてのこだわり」です。
私たちがお客さまにお届けできる最高のウイスキーをどのようにしてつくっていくのか。「山鹿蒸溜所にしかつくれないウイスキーとは何か」と日々自問し、試行錯誤を重ねながら、スタッフ一同ウイスキーづくりに取り組んでいます。
山鹿蒸溜所にしかないもの。まずは「水」と「熟成環境」です。
蒸溜所の地下100mから汲み上げた深層地下水と、この地の熟成環境は唯一無二であり、原酒の個性を育ててくれます。製造を続けていくにつれて、この土地の水と環境が特別であることを深く実感しています。

もうひとつは「製造設備」です。
軽やかで綺麗な酒質を実現する為、発酵工程のコントロールを重視しステンレス製の発酵槽を採用。そして、特注の銅製蒸留器(ポットスチル)は、雑味を取り除く銅の特性をフル活用し、軽やかできれいな原酒をつくるために最適な形状をしています。

軽やかできれいでありながら、しっかりとした満足感のある香味を実現するために、特にこだわっていることがあります。
それは、モロミ(発酵液)をつくり込むことです。
ウイスキー用のディスティラリー酵母に加え、ビールの醸造で使われるエール酵母を併用することで、香味のレイヤー(層)を幾重にも重ね、蒸留後も華やかさと複雑味を醸し出すモロミづくりに取り組んでいます。


私たちは製造工程に限らず、「楽しくつくるウイスキーで、世界にハッピーを届ける。」というスローガンのもと、日々の取組みそのものを楽しみながら、より良いウイスキーづくりを追求しています。
例えば製造スタッフは全員で、テーマごとに数種類のウイスキーを飲み比べながら山鹿のウイスキーとの共通点や相違点、製造に生かせるヒント等について意見交換を行うテイスティング会を毎月実施しています。時には「どうしても皆に飲んでほしい」と、自分のウイスキー体験を熱心にプレゼンするメンバーもいるほどです。その熱意と好奇心が、ウイスキーの幅を広げてくれます。
営業企画グループでは製品パッケージ開発にこだわりをもって取り組んできました。私たちが届けたいウイスキーの中身が伝わるデザインはどのようなものか。社員全員に意見を聞きながらオリジナル瓶をはじめ、ラベルやキャップ等の細部一つひとつにも時間をかけて検討を重ね、パッケージでも「山鹿蒸溜所のウイスキーらしさ」を伝えたいと考えています。
私たちは、日本洋酒酒造組合が策定した「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を満たす3年間の熟成期間に達するまでは、「ニューボーン=ウイスキーの赤ちゃん」として、これまで数量限定で製造・販売してきました。

そして、竣工4年目となった本年、ファーストシングルモルトのリリースは、蒸溜所にとって第2のスタートだと考えております。応援してくださる皆さまのご期待にお応えすべく、山鹿から世界に誇れるウイスキーを目指しての発売となります。
私たちのこだわりが詰まったファーストシングルモルトのリリースまで、あと少し。
どうぞ楽しみにお待ちください!