山鹿蒸溜所ストーリー

Yamaga Distillery Story

Yamaga Distillery Story Vol.02 『山鹿の環境と文化』

ファーストシングルモルト記念連載企画「山鹿蒸溜所ストーリー」。第2回は、私たちのウイスキーを形づくる“山鹿の環境と文化”に焦点を当てます。ウイスキーの香味に大きく影響する、水や熟成環境。土地そのものが、ウイスキーの個性をつくると言っても過言ではありません。私たちがここ山鹿でウイスキーづくりを始めたのは、この地にしかない環境と歴史があったからです。



山鹿の自然環境と水
山鹿市は熊本県北部、豊かな水と自然に囲まれた盆地です。盆地特有の高温多湿な空気と、夏と冬で45度以上もある寒暖差を生かすため、山鹿蒸溜所の樽熟成庫は、あえて自然にまかせて温度や湿度の調整をしていません。山鹿という土地の呼吸の中で、ウイスキーが時間をかけて個性的に育っていく姿を、ときにサポートしながら見守ります。

熊本県は、水道水源の8割以上を良質で豊富な地下水で賄う、世界的にも稀な地域。私たちがウイスキーの仕込みに使う水も、敷地内の2本の井戸から汲み上げる地下100mの深層地下水です。菊池川水系・国見山水系に由来するこの水は、硬度60〜70程度の軟水。この水が、私たちが目指す軽やかでやさしい甘みが感じられる酒質のベースを支えています。

山鹿の文化と歴史
山鹿の町を歩くと、どこか時間がゆっくりと流れているような、不思議な感覚を覚えます。それはこの地の人々が、歴史と文化を日常に根づかせてきたからでしょう。

江戸時代から続く豊前街道の街並みは、2007年に熊本県で初めて都市景観大賞「美しいまちなみ賞」の大賞(国土交通大臣賞)を受賞しました。国指定重要文化財である八千代座を中心とした歴史ある街並みが、市民の暮らしの中に溶け込み、機能し続けていることが高く評価されています。

山鹿という土地の象徴でもあり、私たちのブランドに欠かせない存在なのが、国指定の伝統工芸品・山鹿灯籠です。

和紙と糊だけで作られたその繊細な工芸品は、すべて灯籠師と呼ばれる職人による手仕事。手間を惜しまず、一つ一つ心を込めて形にしていく——
その姿勢は、モルトと水、そして酵母だけを原料に、多様な香味を追求する私たちのウイスキーづくりと通じるものがあります。

山鹿蒸溜所が目指す環境・伝統・文化の調和
山鹿蒸溜所のラウンジは、英国アンティークを基調としながらも、山鹿灯籠をモチーフにしたシャンデリアを取り入れるなど、ウイスキーの伝統と山鹿の文化の調和を一つのテーマとしています。ファーストシングルモルトのパッケージでも、洋酒であるウイスキーのエレガントなイメージと、山鹿ならではの和のテイストの共存を一つのテーマに、ボトルを含めて全てオリジナルでデザインしています。製品イメージの公開も、ぜひ楽しみにお待ちください。

山鹿の豊かな自然の恵みと、人が守り続けてきた文化と誇り。そして私たちつくり手の想い。それらすべてが、山鹿蒸溜所のウイスキーを形づくっています。

次回の連載では、つくり手としてのこだわりに迫ります。どうぞお楽しみに。

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