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2025/05/11

ウイスキー職人の一日

山鹿蒸溜所公式ブログにアクセスいただき、ありがとうございます。

今回は「ウイスキー職人の一日」と題して、山鹿蒸溜所での日常的なウイスキー造りの風景を、写真と共にご紹介します。

 

ウイスキーづくりは、大まかに以下のような工程で進みます。

原料の粉砕 → 糖化(マッシング) → 発酵 → 蒸留 → 熟成

 

山鹿蒸溜所では、日常的な製造現場の仕事を、2つに分担しています。

●「仕込み担当」蒸留以前の工程を広く担当し、蒸留前の準備を整える

●「蒸溜担当(スチルマン)」蒸留を担い、その日の原酒の香味を決める

今回の記事では、それぞれの動きを追いながら、ある一日の製造の様子をご紹介します。

 

 

・8:30 始業/朝礼

全員で連絡事項の共有と配置の確認を行います。

 

【仕込み担当:原料の粉砕・糖化・発酵等、幅広く活躍するマルチワーカー】

・朝礼後 糖化工程開始

タンクや配管の洗浄が終わったら、前日に粉砕したモルト(大麦麦芽)と温水を混ぜて麦汁を造る糖化の工程がスタートします。

麦芽に含まれる酵素の力で、アルコール発酵に適した高糖度の麦汁をつくります。

 

・1番麦汁を発酵槽(ウォッシュバック)へ移送

 

最も糖度が高い1番麦汁は「バナナ」と同じくらいの糖度。

2番麦汁までがその日の仕込み分として発酵槽へと送られます。

同時に、アルコール発酵を開始するための酵母を投入します。

 

・翌日に仕込むモルトの粉砕

 

1回の仕込みにつき約1トンのモルトを使用しています。

粉砕にかかる時間は約1時間半。

2階建ての大きな粉砕機が活躍し、適切な粉砕比率になるようハスク(粗挽き)、グリッツ(中挽き)、フラワー(小挽き)の挽き分けを行っています。

 

・昼前頃 蒸留担当者と、発酵状況について打ち合わせ

発酵の状況について、分析値の確認と共有を行います。

 

・午後 糖化槽(マッシュタン)から麦芽粕の排出/脱水処理

麦汁を絞り終えた麦芽粕は、飼料として再活用するため脱水機にかけ、専用のフレコンバッグに入ります。

 

・粕出し作業終了後 糖化槽(マッシュタン)、配管等の洗浄、清掃

「製造の仕事の半分は清掃」というのが現場の合言葉です。

翌日の仕込みをスムーズに始められるよう、メンテナンスは欠かせません。

 

 

【蒸溜担当:熟成前の原酒、ニューポットを造る”スチルマン”】

・朝礼後 機械装置/検査機器の点検

アルコール度数の測定に使用する検査機器の校正等を行います。

 

・初溜もろみ送り

4日間発酵させたもろみ(発酵液)を初溜釜に送り、蒸留の準備をします。

 

・準備が整い次第 再溜釜・初溜釜を順に加熱開始

再溜釜にボイラーから蒸気を送り、加熱を開始。

もろみ送りが完了したら、初溜釜も加熱を開始します。

釜の温度上昇を待つ間に、空になった発酵槽の洗浄も進めます。

 

・午前中 ミドルカット

 

再溜液を、樽詰めに適した部分と翌日の再溜に使用する部分に分けます。

その日の原酒の香味を決定づける、蒸溜工程の中でも重要なポイントです。

 

ミドルカットと前後のタイミングの再溜液はサンプリングし、その日の蒸溜担当者以外も、手が空いたタイミングでテイスティングし、意見を出し合います。

 

ミドルカット後は、定期的なアルコール度数や温度測定を行い、蒸留の状況チェックを怠りません。

合間を見て、洗浄が終わった発酵槽をさらに熱湯で流します。

 

・昼前頃 仕込み担当者と、発酵状況について打ち合わせ

発酵の状況について、分析値の確認と共有を行います。

 

・昼前後 テールカット

雑味が多く含まれ始めるタイミングからタンクを切り替え、当日の樽詰め部分の香味を確定させます。

 

・夕方頃 蒸留終了

各タンク内の液量の測定後、蒸留釜の洗浄、清掃を行います。

初溜液(ローワイン)を洗浄が終わった再溜釜に送り、翌日の蒸留準備をしておきます。

 

・17:30 終業

お疲れ様でした。今日も良い原酒が出来ましたね!

 

 

 

いかがだったでしょうか。

蒸溜所見学の際には、今回の記事を思い出していただき、製造スタッフの動きにも注目してみてください。

「この時間はこの工程かな?」と想像しながら見学していただくと、さらに楽しんでいただけるはずです。

たくさんのご来訪を、スタッフ一同、心よりお待ち申し上げます。

それではまた、次回の記事でお会いしましょう。

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