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山鹿蒸溜所の樽熟成庫を歩く①
山鹿蒸溜所 広報担当の大段です。
ウイスキーの製造を始めて約1年10か月。樽熟成庫の貯蔵樽数はいよいよ1,000丁を超えました。
この樽熟成庫の中に入り、ウイスキーの芳醇な香りを感じることが毎日の楽しみとなっています。
私たちが大切に貯蔵している、樽。
樽なくしてウイスキーを語ることはできません。
山鹿蒸溜所公式ブログ、今回は「樽」をテーマにご紹介いたします。
ウイスキー製造には欠かせない樽。
樽はなぜ重要と言えるのでしょうか。
最大の理由は、樽の中での熟成がウイスキーの品質に大きく影響していくこと。
そしてウイスキーの定義が関係しています。
「ジャパニーズウイスキー」の定義では、
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内容量700リットル以下の木製樽に詰め、当該詰めた日の翌日から起算して3年以上日本国内において貯蔵すること。
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「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」2021年2月16日、日本洋酒酒造組合より引用
とあります。
山鹿蒸溜所では、原料である麦芽の粉砕から蒸留完了まで約1週間。
原酒を樽詰めしてから、ジャパニーズウイスキーとして商品化できるのは少なくとも3年後になります。
ウイスキーは商品となるまで、その大部分の時間を樽の中で過ごすのです。
スコッチウイスキーやバーボンウイスキーの定義では、熟成に使う樽の品種はオーク樽のみと定められています。
ジャパニーズウイスキーでは「木製樽」とすることによって、選択肢を広げています。例えば日本特有の品種である桜や杉等の木を使用することができるのです。
あまりご存じない方も多いと思いますが、山鹿市は西日本有数の栗の生産地です。
山鹿蒸溜所では、熊本県産の栗樽を使用した熟成を行っています。
栗樽は使えば使うほど味わい深くなるといわれています。楽しみですね!
現在、山鹿蒸溜所の樽熟成庫にある樽の種類は大きく分けると以下のようになります。
【熟成に使用されていた中古樽】
・バーボン樽
・シェリー樽
・ワイン樽
・焼酎樽
【国産、海外から仕入れている新樽】
・栗
・ミズナラ
・アメリカンホワイトオーク
・フレンチオーク
今後はさらに樽の種類を増やすとともに、さまざまな大きさの樽にも挑戦してみたいと思っております。
バーボン以外のウイスキーが熟成された樽なども面白そうですね。
これらの樽での熟成で、原酒はどのように変化していくのでしょうか。
前回のブログでご紹介した通り、蒸留した直後の原酒は無色透明です。
樽の中で熟成が進むことによって、樽に含まれている成分が作用し時間をかけて琥珀色に変わっていきます。
香りや味わいも、樽の個性によってさまざまです。
単純に樽に入れている時間が長ければ長いほど色が濃くなり、熟成も進むのでしょうか。
品質チェックの為サンプリングしたウイスキーを確認してみると、必ずしもそうではないようです。同じ日に蒸留した原酒を同じ期間、ほとんど同じ場所に保管していても、熟成や着色の進み具合はバラバラです。
樽がウイスキーに与える影響は不思議なもので、完全にコントロールすることは私たちにはまだできません。できないことがウイスキーの奥深さを生んでいるとも言えるでしょう。
1丁1丁、違った個性を持つ樽で熟成させることで、ウイスキーの可能性は無限に広がるのです。
次回は樽のメンテナンスについてご紹介します。
最後まで読んでくださりありがとうございます。また来月お会いしましょう!